前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

確証バイアス

人は自分にとって「都合のいい」情報だけを信じ、否定する情報に触れなかったり、信じなかったりする傾向が強いのだそうで、この心理効果のことを「確証バイアス」といいます。

まぁ、分かりやすく言えば「ご都合主義」ということですね。


そもそもこの心理には既に「結論」があって、その「結論」を肯定的にする情報を集め、否定されるような情報に対してはフィルターをかけてしまうというもので、例えば、
2つの商品があったとして、自分が買った方の商品については、肯定的な情報だけを探したり、否定的な意見については「無視」してしまったり、挙句「その意見を言っているヒトがおかしい」なんて思ったことはありませんか?


これは、自分自身が「損したくない」「後悔したくない」という心が働き、自分の選択に間違いがなかったということを信じ切りたいからの行動なのです。


まぁ、これまでの場合であれば、可愛らしいものなのですが、この作用が悪い方向に働いてしまうと、とても恐ろしいことになります。


特に1番太刀が悪いのが「振込詐欺」で、一度引っかかってしまった人は、なんども振り込んでしまうというのは「自分は騙されていない」と思い込みたいという、逆の心理効果が働いてしまうのだそうです。


お金を振り込んだのが「都合のいい」ことか??
と思ってしまいますが、振込詐欺の場合「自分は詐欺に遭っていない」という自分のプライドを守るために働く作用なのだそうです。


認知バイアス

似たようなもので、認知バイアスというものがあります。
これは、事柄を評価するにあたって他の意見や事柄に大きく影響受けることを指していて、その中に「ダニング=クルーガー効果」というものがあります。

  • 能力の低い人は、自分を過大評価する
  • 能力の高い人は、自分を過小評価する

これ、回りを見渡してみると、納得できるような人いませんか?
この理論を提唱したのは2人の心理学者で、デビッド・ダニング氏とジャスティン・クルーガー氏。
人間は、「自分を客観的に見ること」が苦手ですし、ともするとプライドのために事実さえも歪めてしまうこともあります。
そうならないために、「謙虚な行動」を取るということを常日頃から心がけておきたいものですね。

プロスペクト理論

「人は損するということを異常なくらい嫌う」


誰でも「損」はしたくはないと思うのですが、「損をしたくない」と思うがあまり、さらに損をしてしまうなんてことは、往々にしてあります。


プロスペクト理論は、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱した意思決定モデルのひとつで、


「人は利益を得られる場面ではリスク回避を優先し、損失をこうむる場面では損失を回避する傾向がある」

というもので、具体的に例を挙げると



■例題1
1.確実に80万円貰える
2.85%の確率で100万円貰えるけど、15%の確率で何も貰えない


■例題2
3.確実に80万円損をする
4.85%の確率で100万円損するけど、15%の確率で損することはない


さて、この例題で、どちらを選びました??
恐らく、1番、4番を選択したのではないでしょうか。
実験においても、この「1番、4番」という解答が選ばれるということが確認されています。


しかしこの例題、ともに同じ確率であるにも関わらず、なぜ選択が変わってしまうのでしょうね。
実はこれ、得をする場合では、損すること嫌い低い確率に注目し、損する場合では、同じく損することを嫌い高い確率に注目してしまうのだそうです。


人間は生まれた瞬間から損失回避の行動を取る性質を持っていて、人生の様々な選択の場面で、非合理的で損な判断を下してしまいます。


もちろんそれ自体が悪いわけではありませんが、損失回避の行動ばかりとっていては、損するばかりの人生にもなりかねませんので、あらゆる意思決定においてはしっかりと考えて行動に移したいものです。







行動経済学の知見を利用

行動経済学の知見を利用して、生活者に省エネ行動を促し、家庭部門のCO2排出量削減を目指す――


どうやら、日本オラクルと住環境計画研究所が、行動経済学を応用し、生活者に自発的な省エネ行動を促す実証実験を2017年度から5年間にわたって実施するのだそうですよ。


そもそもの発端は、環境省の「平成29年度低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」の委託を受け、「パリ協定」における2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減するという日本の目標数値達成に貢献するためのようですが、なんだか最近「行動経済学」の力が広がってきていますね。


今回の実証目的は、「生活者自身がエネルギー消費量に関心を持ち、自発的に省エネ行動を行う状況をつくること」にあるのだそうで、この「自発的な省エネ行動」を促すための手段として、行動経済学の理論の1つである「nude(ナッジ)」を活用するのだとか。


nude(ナッジ)


まぁ、フリガナがなければ「ヌード」と呼ぶところですよね・・・。
しかし、今回の場合の「nude」とは、英語で「ナッジ」と読み「そっと突く(押す)」という意味を持っていて、2017年ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授が生み出した行動経済学における理論の1つ。


これは、科学的分析に基づいて人間の行動を変える戦略のことで、面白いのが「人は的があると、そこに狙いを定める」という分析があるのだそうで、これを実証したのが、アムステルダムのスキポール空港の小便器なのだとか。


そもそもこの実験は、アムステルダムのスキポール空港の経費削減のために行われたようで、小便器の内側に一匹のハエの絵が描いたのだそうです。
すると、これまで床の清掃費が高くついていたものが、なんと8割も減少したのだとか。


これ、笑っちゃいますよね。


ほんの小さなことなのに、経費が8割も削減するなんて!!!


他にも、イギリスでは税金の滞納者に対して行う通知に対して「同じ地域内の住民の納税率を記載する」という実証を行っているのだそうで、様々な手法がありそうです。


確かに、人間って「気づき」なんですよね。


人間って、人から言われても絶対に言うこと聞こうとしませんが、ふと自分で気づいた場合、そこに意味を見出し、実践するということがあります。


この実証実験、せひとも成功して欲しいですね。