行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学についてしっかりと学んでいきたいと思います。

行動経済学「2割の壁」

2016年4月に家庭を含めた電力小売りの全面自由化が始まってから6年が経ち、2017年にはガス小売りの全面自由化も始まったことから、電力・ガスのセット割も登場したのですが、その割に低圧需要家の新電力会社への乗り換え率は21%にとどまるのだそうです。



行動経済学では「2割の壁」という言葉があり、最初に新しもの好きの2割が先行して行動を起こすのですが、やがて後続が絶えていくのですが、どうやら電力自由化も同じ壁に直面しているようです。


というのも日本の電力改革を想定外の試練が襲い、21年冬に寒波で電力需要が増加したところに、液化天然ガス(LNG)の在庫枯渇による電力供給力の低下が重なり、卸電力市場のスポット価格が高騰、一時1キロワット時250円を超え、逆ざやで損失を被った新電力の撤退が相次ぎ、市場連動型メニューの需要家に対しては高額な料金が請求されてしまいました。


落ち着きを取り戻しているとはいえ、危機の背景には石炭火力の休廃止、原発の運転停止、再生可能エネルギー発電の出力変動という構造的要因があり、今後も繰り返し深刻な電力危機に襲われる可能性が高く、ロシアがウクライナに侵攻したことも影響し、ここのところ数か月ごとに公共料金は上がってきています。


電力全面自由化は、電力選択の自由を全ての国民に保証し、新旧電力が需要家ニーズに沿った多様なメニューを提供し、節電を促すデマンドレスポンス(需給調整)を実現し、かつ電力以外のサービスと融合した付加価値を実現するという狙いがあったのですが、近年の電力危機により当初の狙いは果たされないままとなっています。