前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について私前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

参照点

私たちが損得を感じるときの基準となる点のことを参照点といい、人は、この参照点からどのくらいプラスに離れているか、マイナスに離れているかによって、損得を判断しています。


例えば、給与が1万円上がるとしたら、それは嬉しいことですよね。
しかしながら、今ここには参照点がありません。
ここで参照点として、これまで月給30万円だったとしましょう。


そうすると、1万円上がって、31万円になるわけですから、これを嬉しく思わない人はいないでしょう。
しかし、事前に給与が上がることが噂になっており「1人2万円上がるらしい」と聞いていたらどうでしょう?


この噂によって、あなたの参照点は32万円となります。
しかしながら、実際に上がったのは1万円だけで、31万円の月給となりました。
本来、給与はアップしているわけですから、嬉しいはずなのですが、参照点が32万円だったわけですから、嬉しいというよりも、がっかりしませんか?


1万円も給与が上がったのにがっかりしてしまうなんて、理不尽ですよね

価値関数

参照点からの利得と損失を関数として描いた満足度があり、これを価値関数といいます。
この価値関数をグラフで表すと、以下のようになります。


参照点からみて、利得・損失の絶対値が大きくなっていくと、その変化に対して価値の変化が小さくなっていくというもので、具体的には、差は10万円であったとしても、100万円と110万円の差よりも、0円と10万円の差のほうが主観的には大きく感じるということを意味しています。




行動経済学の創始者

行動経済学の創始者は、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーと言われています。

1602夜『人工知能』ジェイムズ・バラット|松岡正剛の千夜千冊より

もともと心理学者であった2人が1970年代から多くの論文を共同で発表し、1979年、経済学で有名な雑誌「エコノメトリカ」で「プロスペクト理論」を発表し、それまで経済学で受け入れられていた「期待効用理論」が成立しないことを実験で示しました。
そして翌年、リチャード・セイラーが「心の会計」が発表し、この2つの論文をもって行動経済学の始まりとすることが多いのだそうです。


そして2002年には、ダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞し、これをきっかけに行動経済学が勢いづいてきたのだそうです。


もう一人のエイモス・トヴェルスキーは、ノーベル経済学賞を受賞できなかったのか???なんて思われるかもしれませんが、残念ながらエイモス・トヴェルスキーは2002年以前に亡くなってしまっており、生きていれば確実に受賞していたであろうと言われています。


ちなみに私、前田壮一が行動経済学に興味を持ったのは、イスラエル系アメリカ人で心理学と行動経済学の教授のダン・アリエリーの「不合理だからうまくいく」を読んだことがキッカケで、彼がTedやyou tubeで動画をアップしているので、それが理解できるように英語も勉強したいと思うくらいです。

個人的に「経済学」はどうしても人間味がなく、学術的すぎて納得出来ないことが多かったのですが、行動経済学はあまりに人間的で、かつ頭がいい人間でなくても理解できることが多いので、すんなりと身に入ってきます。


色々なことに興味を持つわりに、なかなか持続しない自分が、ここまでのめり込むようになるなんて思ってもみませんでした。

ハーディング効果

人間は常に合理的な行動を取るとは限らず、時として非合理的な行動も取ってしまうというのが行動経済学の考え方で、その行動経済学の一つの考え方の中に「ハーディング効果」というものがあります。

ハーディング効果

簡単にいうと「ハーディング効果」というのは、他の人と同じ行動を取りたいという心理のことで、事象に対して「合理的な行動を取る」ということよりも、むしろ「周りの人と同じ」行動を選択し、安心感を得たいという気持ちが強く出てしまうことです。
いわゆる「多数は正義だ」のようなもので、右に倣えの教育を受けてきた日本人には心にしみるほどわかりやすい行動パターンです。

まぁ、誰しも集団から外れたくないという心理は持っていますよね。


身近なところでは「信号待ち」で、赤信号なので青に変わるまで待っているのですが、誰か1人が赤信号なのにわたってしまい、それをみた人が次々と信号を無視してわたっていると、ついついその波に飲み込まれてしまった経験はありませんか?


私、前田壮一の場合、逆に「絶対に渡るもんか!」なんて思ってしまう、天邪鬼な気質なのですが、確かに赤信号であっても全く車の通過しない交差点なんて多々ありますし、たまに「車も来ないのに馬鹿らしい・・・」なんてこともありますよね。


ちなみにこの「ハーディング効果」、海外の誰それハーディングが発見したから、この名前になっているなんて思っていたら大間違いで、実は英語で「Herding」、日本語に訳すと「(動物の)群れ」を意味するのです。


しかし、このハーディング効果、考えようによっては、周りの人と同じ行動を取ることによって安心し、同調しようとするのですから「平和」的発想だということも言えそうですが、逆にこれが悪い方に向かってしまうと、狂信的にもなりかねませんので、何事にも自分の意思をしっかりと持っておきたいものです。