前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について私前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

ハーディング効果

人間は常に合理的な行動を取るとは限らず、時として非合理的な行動も取ってしまうというのが行動経済学の考え方で、その行動経済学の一つの考え方の中に「ハーディング効果」というものがあります。

ハーディング効果

簡単にいうと「ハーディング効果」というのは、他の人と同じ行動を取りたいという心理のことで、事象に対して「合理的な行動を取る」ということよりも、むしろ「周りの人と同じ」行動を選択し、安心感を得たいという気持ちが強く出てしまうことです。
いわゆる「多数は正義だ」のようなもので、右に倣えの教育を受けてきた日本人には心にしみるほどわかりやすい行動パターンです。

まぁ、誰しも集団から外れたくないという心理は持っていますよね。


身近なところでは「信号待ち」で、赤信号なので青に変わるまで待っているのですが、誰か1人が赤信号なのにわたってしまい、それをみた人が次々と信号を無視してわたっていると、ついついその波に飲み込まれてしまった経験はありませんか?


私、前田壮一の場合、逆に「絶対に渡るもんか!」なんて思ってしまう、天邪鬼な気質なのですが、確かに赤信号であっても全く車の通過しない交差点なんて多々ありますし、たまに「車も来ないのに馬鹿らしい・・・」なんてこともありますよね。


ちなみにこの「ハーディング効果」、海外の誰それハーディングが発見したから、この名前になっているなんて思っていたら大間違いで、実は英語で「Herding」、日本語に訳すと「(動物の)群れ」を意味するのです。


しかし、このハーディング効果、考えようによっては、周りの人と同じ行動を取ることによって安心し、同調しようとするのですから「平和」的発想だということも言えそうですが、逆にこれが悪い方に向かってしまうと、狂信的にもなりかねませんので、何事にも自分の意思をしっかりと持っておきたいものです。



モンティホール問題

「人は合理的に行動する」
この考え方は、これまでの伝統的な経済学の考え方です。


100円のレタスと200円のレタスがあった場合、「経済学」においては迷うことなく「100円のレタス」を選択します。


しかし、実際に買おうとした時に、なぜか人々が「200円のレタス」をどんどん買っていきます。


こうなってくると「なぜ200円のレタスが売れるんだ??」なんて思いが浮かんできますよね。


もし誰もいなければ、迷わず「100円のレタス」を購入したのに、他の人がこぞって「200円のレタス」を購入していた場合、人によっては「200円のレタス」を買ってみようかな??なんて思いがよぎります。


経済学においては絶対に有り得ない行動を、実際に人は起こしてしまう・・・
これが行動経済学で、人の行動は学術だけでは判断できないものなのです。


モンティホール問題

目の前に3つの箱があって、その中のひとつには「あなたの欲しいもの」が入っていて、その他は空っぽとなっています。


あなたは、この3つの箱からひとつを選びます。


そうすると、箱の中に「あなたの欲しいもの」を入れた人が、残りの2つの箱のうち、空っぽになっている箱を一つ開けてくれます。


そうすると、箱は「あなたの選択した箱」「中身を知っている人が開けなかった箱」の2つが残ることになります。


そこで、改めて2つの「箱」の中から、ひとつを選んで良いことになります。
そうなった場合、あなたはどうしますか?


A.箱は変えない(最初に選んだ箱のまま)
B.箱を変える(最初に選んだ箱を止める)


この問題は、確率論の有名な問題の一つで、モンティ・ホールのジレンマと呼ばれることもあって、直感的な答えと厳密な確率に則って導き出された答えが異なるという事例です。


さてこの答えなのですが「選択を変更した方」が当たりやすくなります。
つまり正解は「B」。
その当たる確立たるや2倍の差も出てくるのだそうです。


しかしながら、多くの場合、人は「A」の「箱を変えない」という判断を下すのだそうです。


不思議ですよね。


考えようによっては「箱を変えるか、変えないか」の2つの選択しかないのですから、統計的に「変える」と「変えない」の判断は50%になっても良さそうで、しかも確率的には「変える」ほうが2倍も当たる確率が上がるのですから、不思議な結果としかいいようがありません。


恐らくは、自分の選んだ直感を信じているのか、確率について考えるのが面倒くさいという心理なのかどうかはわかりませんが、これこそが行動経済学を学んでいく上で面白いところなのかも知れませんね。













真ん中を選ぶ理由。

「松竹梅」「特上・上・並」。
お店などでは、価格設定が3つに分類された商品を見かけることがありますよね。
そして、この価格帯、絶妙に設定されていて選択に悩むものなのですが、このように3段階に分けられた選択肢があると、ほとんど多くの人は「真ん中」レベルのものを選びたくなる傾向にあるのだそうです。

松竹梅



この「真ん中のものを選ぶ」ということを経済行動学では「極端の回避」「妥協効果」といって、典型的な人間心理のひとつとして知られています。


まぁ、ほとんどの人は「真ん中のものを選ぶ」ということについては納得できますよね。
というのも、グレードによって3つにわけられてしまうと、1番下のものを選択することによって「損したくない」という感情が芽生えてしまいますし、かといって1番グレードの高いものを買うほどの余裕がなかったり、逆に「高いものを買って損したくない」なんて思いが湧き上がってきたりします。


また、1番グレードの低い商品に関しては、「一番低いグレードの商品を選ぶと、貧乏やケチだと思われるかも?」なんていう見栄の心理が働くとも言われています。


しかし、「真ん中のもの」の選択したのであれば、良いも悪いも納得することができます。
例えば、「真ん中」のものが思っていた以上に良かったりすると、かなり得した気分になりますし、劣っていた場合「真ん中だからこんなもんか」「1番のグレードにしなくて良かった」なんて、自分の都合のいいように解釈することができます。


さて、このように価格帯を3つにすることなのですが、2つや4つにしてもいいのでは??
なんて思ってしまいますよね。


実はこの「3」という数字、日本人が「3」が好きだからとかいう曖昧な理由ではなく、しっかりとした根拠があるんですよ。


まず、価格帯を2つにした場合なのですが、統計によると約7割の人が「グレードの低い」ほうを選ぶのだそうです。
この理由としては、2つの価格差によって「安いほうが得」というように感じやすいのだとか・・・。
「価格差」と「性能」を比較しやすいこともありますし、2つの選択肢という場合、どうしても価格で判断してしまいやすいのだそうです。


そして「4つ」の場合。
この場合、4つの選択以外に「買わない」という選択肢も出てくるのだとか。
「Aもいいし、Bも悪くない。Cが1番無難そうだけど、金銭的にはDでもいいかな・・・」なんて悩むことになって、「買わない」という選択肢が出てくるのだとか。


ここで登場するのがマジカルナンバーといって、人が瞬間的に記憶できる「短期記憶の限界数」。


そもそも「短期記憶」とは、人間が数十秒から数分で忘れてしまう記憶のことで、アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが論文によって「日常的なことを対象にした場合の記憶容量は、7を中心としたプラスマイナス2個の範囲内である」という説を唱えています。


じゃあ先程の「4」でも問題ないじゃないか?なんて思った方、


実は、現在では、ネルソン・コーワンが発表した「マジックナンバー4プラスマイナス1」という説が有力となっていて、「人間が一度に記憶できる情報の数は4つ」なのだそうです。


考えてみれば「電話番号」「クレジットカード」なども数字は4つ程度で区切られていますし、数字を覚えるときも、大抵は「3区切り」「4区切り」で覚えたりしませんか?


とまぁ、本題からはかなり脱線してしまいましたが、マジックナンバー「4」であれば、先の「4つの選択肢」でも問題ないと思われるかもしれませんが、「記憶」ではなく、「選択させる」という場面においては、その数が多ければ多くなるほど比較検討することが増えてしまい、人は疲れ、考えることを止めるのだそうです。


つまり「買わない」という新たな選択肢が増えるんですね。


ですので、マーケティングにおいては、現在ありとあらゆる場面において3つの選択肢が用意されていることが多いのです。


まぁ、乱暴な言い方をすれば「1番購入して欲しい商品」に対して、グレードアップ、グレードダウンの商品を用意し、比較検討してもらうという方法を取ることが売上アップにつながるのでしょうね。