前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について私前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

インセンティブのバランス

よく人を動かすために、インセンティブが使われますが、これも使い方次第では、思った以上の効果が出ないようですよ。



あるテストで、6つのゲームを行ってもらい、それぞれ普通の成績であれば「良」として定められた報酬がもらえ、さらにいい成績であれば「優」として定められた報酬が2倍となってもらえます。
しかし、成績が「良」以下であれば、報酬は貰えません。


ここで、その報酬額を3つにわけて、少額チームであれば1万円、中額チームであれば5万円、大額チームであれば10万円として、テストを行ったのだそうです。


ここで問題。


この「少額チーム」「中額チーム」「大額チーム」の中で、一番成績の良かったチームは、どのチームだったのか、わかりますか??


ちなみに、6つのゲームですべて「優」をとった場合の報酬は「少額チーム」が12万円、「中額チーム」が60万円、「大額チーム」が120万円となります。


「大額チーム」に決っているだろ???


いえいえ、残念。
実は「少額チーム」と「中額チーム」の成績にはあまり違いがなかったのだそうですが、一番貰えるであろう「大額チーム」の成績が一番悪かったのだそうです。


このような結果になったのは「大額チーム」のインセンティブがあまりに大きすぎたため、それがかえってプレッシャーとなり、満足な成績を収めることができなかったのだそうで、とくに1番目に行ったゲームでつまづいてしまった場合、そこから平常心を取り戻すことができなかったのだとか。


また、面白いことに「少額チーム」「中額チーム」は受け取る報酬にほぼ満足出来ていたのに対し、「大額チーム」の場合、「受け取れなかった報酬」に対する執着のほうが強かったのだそうです。


「少額チーム」が全て「優」であっても12万円ですから、「大額チーム」は6つのゲームの内、たった2つの「良」取るだけで「少額チーム」のマックス金額をゆうに超えることができます。


金額だけを見れば「大額チーム」でも十分なはずですが、本来120万円貰えるチャンスだったということを考えると、報酬20万円では満足はできるはずもなく、貰える可能性のあった報酬をミスミス逃したとなると、そりゃ未練がましくなってしまいますよね。


まぁ、そういうこともあり、期待している行動に対して、なにかしらのインセンティブをつけるのであれば、与える方も受け取るもホドホドが一番いいということです。






人間の性質である損失回避

「利得が満足感を増やす度合いよりも、損失が満足感を減らす度合いのほうが大きい。」


いきなりなんのこっちゃ?って感じですよね。


このような人間の性質を「損失回避」というのだそうで、どういうことかというと、


「1万円で買った馬券が見事に的中し、2倍の2万円のお金をゲットしました。
次にそのうちの1万円を使い馬券を新たに購入したのですが、こちらは見事にすってしまうことに・・・。」


この場合、結果的には1万円が手元に残りますし、「儲けた1万円-すった1万円」=ゼロとなりますから、利得と損失は同じはずです。


しかし、実際には「的中したときに止めておけばよかった・・・」なんて思ったりしませんか?
前田壮一は、かなり後悔し自己嫌悪にさえ陥ったりします・・・。


つまり、同じ1万円の損失と利得であるに関わらず、人は損失のほうを大きく捉えてしまうのです。


ちなみに一般的には、損失は利得の2倍以上のインパクトを持つと言われているのだそうで、人は得られる物よりも、失う恐怖の方が大きいのです。


もともと人間の性質として、利益を前にすれば確実に利益を取る選択をし、損失を前にすればその全てを回避しようとする選択を行うのだそうです。


まぁ、そりゃ最もですよね。
好きこのんで 損失を受けたくはありませんし、確実な利益に飛びつきたいのは当りませです。


今回のことは、行動経済学における最も代表的な理論の一つであるプロスペクト理論というものの一部を紹介したのですが、今後もこの辺のことを深く追いかけてみたいと思います。








囚人のジレンマ

ある犯罪を犯した容疑者2人がいて、それぞれが別室で尋問されています。
そこでは以下のような取引を持ちかけられているのですが、その取引は容疑者2人に平等に持ちかけられているということを容疑者2人は知っています。


  • 自分だけが自白すれば、懲役1年
  • 相手だけが自白すれば、懲役15年
  • 二人とも黙秘すれば、懲役2年
  • 二人とも自白すれば、懲役10年


さて、あなたならどうしますか??


これ、かなり難しい選択を強いられますよね。
相手のことを考えずに選択するのであれば「自分だけが自白すれば、懲役1年」を選択したいところですが、もし相手も同じ考えで「自分だけが自白すれば、懲役1年」を選んだ場合、結果二人とも「二人とも自白すれば、懲役10年」となってしまいます。


さて今度は「二人とも黙秘すれば、懲役2年」が良さそうですが、相手が「自白」しないとも限りませんし、最悪の場合「相手だけが自白」となり、自分だけが懲役15年となってしまします。


それでは、相手が「自白」しないことに期待して「二人とも自白すれば、懲役10年」を選びますか??
上手く行けば、自分だけ「懲役1年」となりますが、相手が「自白」しないという根拠もありませんし、自ら「懲役10年」を選択するのは、なかなかできないことですよね。


これは、ゲーム理論や経済学において「個々の最適な選択が全体として最適な選択とはならない状況の例」としてよく挙げられる問題で、ゲーム理論におけるゲームの1つとなっています。


まぁ、この場合、容疑者2人にとっては、互いに裏切りあって懲役10年となるよりは、互いに強調しあって2年の刑を受ける方が1番なのですが、どうしても自分の利益のみを追求してしまうため、互いに裏切りあうという結果になるのだそうです。


しかし、これ、ゲームという感覚で考えるから気楽ですけど、実際にこのような状況下におかれた場合、また違った感覚が生まれてくるのか知れませんね。