前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

心のクセを知っておく

人間の心理は面白いもので、「実際に起こる確率の低いものを高く評価」し、「実際に起こる確率の高いものを低くする」傾向があるのだそうです。


A.0.1%の確率で50万円貰えるが、99.9%の確率で何も貰えない
B.確実に500円もらえる


このような選択肢があった場合、70%の人がAを選ぶ傾向にあるのだそうです。
そして次の選択肢


A.0.1%の確率で50万円損するが、99.9%の確率で何も失わない
B.確実に500円損する


さてどちらが多いと思いますか?


実はこの場合、Bを選ぶ人が80%にも及ぶのだそうです。


この2つの場合、「50万円が貰えるか、失うか」「500円を貰えるか、失うか」だけの違いなのですが、同じ確率にも関わらず、得をする場合(50万円を貰える)は低い確率のほうを選び、損する場合(500円を失う)は、どんなに低い確率であっても確実に失うほうを選択してしまうのです。


さて、それを踏まえて、万が一のときに必要になる生命保険なのですが、万が一とは一体どれくらいの確立なのでしょうかね?
実のところ、30歳の人が50歳までに死ぬ確率って、わずか3%程度らしいですよ。


そう考えると、若いうちから50歳までに「掛け金の高い生命保険」に加入することが、いいことなのか、悪いことなのか、判断に役立つかもしれませんよね。


まぁ、死亡しないまでも入院となった場合のことも考えなければならないとは思いますが、その入院にしても50歳までに入院する確率が約15%だと考えると、ひょっとすると自分自身でコツコツと貯金しておいたほうがいいなんてこともありえますよね。


また、高額の生命保険ではなく、ごく一般の保険だけでも十分なような気がします。


とはいえ、リスクに対して人間はどんなに低い確率であっても、高く評価しがちですので、人生において確率に振り回されないようにしたいものです。







確証バイアス

人は自分にとって「都合のいい」情報だけを信じ、否定する情報に触れなかったり、信じなかったりする傾向が強いのだそうで、この心理効果のことを「確証バイアス」といいます。

まぁ、分かりやすく言えば「ご都合主義」ということですね。


そもそもこの心理には既に「結論」があって、その「結論」を肯定的にする情報を集め、否定されるような情報に対してはフィルターをかけてしまうというもので、例えば、
2つの商品があったとして、自分が買った方の商品については、肯定的な情報だけを探したり、否定的な意見については「無視」してしまったり、挙句「その意見を言っているヒトがおかしい」なんて思ったことはありませんか?


これは、自分自身が「損したくない」「後悔したくない」という心が働き、自分の選択に間違いがなかったということを信じ切りたいからの行動なのです。


まぁ、これまでの場合であれば、可愛らしいものなのですが、この作用が悪い方向に働いてしまうと、とても恐ろしいことになります。


特に1番太刀が悪いのが「振込詐欺」で、一度引っかかってしまった人は、なんども振り込んでしまうというのは「自分は騙されていない」と思い込みたいという、逆の心理効果が働いてしまうのだそうです。


お金を振り込んだのが「都合のいい」ことか??
と思ってしまいますが、振込詐欺の場合「自分は詐欺に遭っていない」という自分のプライドを守るために働く作用なのだそうです。


認知バイアス

似たようなもので、認知バイアスというものがあります。
これは、事柄を評価するにあたって他の意見や事柄に大きく影響受けることを指していて、その中に「ダニング=クルーガー効果」というものがあります。

  • 能力の低い人は、自分を過大評価する
  • 能力の高い人は、自分を過小評価する

これ、回りを見渡してみると、納得できるような人いませんか?
この理論を提唱したのは2人の心理学者で、デビッド・ダニング氏とジャスティン・クルーガー氏。
人間は、「自分を客観的に見ること」が苦手ですし、ともするとプライドのために事実さえも歪めてしまうこともあります。
そうならないために、「謙虚な行動」を取るということを常日頃から心がけておきたいものですね。

プロスペクト理論

「人は損するということを異常なくらい嫌う」


誰でも「損」はしたくはないと思うのですが、「損をしたくない」と思うがあまり、さらに損をしてしまうなんてことは、往々にしてあります。


プロスペクト理論は、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱した意思決定モデルのひとつで、


「人は利益を得られる場面ではリスク回避を優先し、損失をこうむる場面では損失を回避する傾向がある」

というもので、具体的に例を挙げると



■例題1
1.確実に80万円貰える
2.85%の確率で100万円貰えるけど、15%の確率で何も貰えない


■例題2
3.確実に80万円損をする
4.85%の確率で100万円損するけど、15%の確率で損することはない


さて、この例題で、どちらを選びました??
恐らく、1番、4番を選択したのではないでしょうか。
実験においても、この「1番、4番」という解答が選ばれるということが確認されています。


しかしこの例題、ともに同じ確率であるにも関わらず、なぜ選択が変わってしまうのでしょうね。
実はこれ、得をする場合では、損すること嫌い低い確率に注目し、損する場合では、同じく損することを嫌い高い確率に注目してしまうのだそうです。


人間は生まれた瞬間から損失回避の行動を取る性質を持っていて、人生の様々な選択の場面で、非合理的で損な判断を下してしまいます。


もちろんそれ自体が悪いわけではありませんが、損失回避の行動ばかりとっていては、損するばかりの人生にもなりかねませんので、あらゆる意思決定においてはしっかりと考えて行動に移したいものです。