前田壮一の行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学について私前田壮一がしっかりと学んでいきたいと思います。

モンティホール問題

「人は合理的に行動する」
この考え方は、これまでの伝統的な経済学の考え方です。


100円のレタスと200円のレタスがあった場合、「経済学」においては迷うことなく「100円のレタス」を選択します。


しかし、実際に買おうとした時に、なぜか人々が「200円のレタス」をどんどん買っていきます。


こうなってくると「なぜ200円のレタスが売れるんだ??」なんて思いが浮かんできますよね。


もし誰もいなければ、迷わず「100円のレタス」を購入したのに、他の人がこぞって「200円のレタス」を購入していた場合、人によっては「200円のレタス」を買ってみようかな??なんて思いがよぎります。


経済学においては絶対に有り得ない行動を、実際に人は起こしてしまう・・・
これが行動経済学で、人の行動は学術だけでは判断できないものなのです。


モンティホール問題

目の前に3つの箱があって、その中のひとつには「あなたの欲しいもの」が入っていて、その他は空っぽとなっています。


あなたは、この3つの箱からひとつを選びます。


そうすると、箱の中に「あなたの欲しいもの」を入れた人が、残りの2つの箱のうち、空っぽになっている箱を一つ開けてくれます。


そうすると、箱は「あなたの選択した箱」「中身を知っている人が開けなかった箱」の2つが残ることになります。


そこで、改めて2つの「箱」の中から、ひとつを選んで良いことになります。
そうなった場合、あなたはどうしますか?


A.箱は変えない(最初に選んだ箱のまま)
B.箱を変える(最初に選んだ箱を止める)


この問題は、確率論の有名な問題の一つで、モンティ・ホールのジレンマと呼ばれることもあって、直感的な答えと厳密な確率に則って導き出された答えが異なるという事例です。


さてこの答えなのですが「選択を変更した方」が当たりやすくなります。
つまり正解は「B」。
その当たる確立たるや2倍の差も出てくるのだそうです。


しかしながら、多くの場合、人は「A」の「箱を変えない」という判断を下すのだそうです。


不思議ですよね。


考えようによっては「箱を変えるか、変えないか」の2つの選択しかないのですから、統計的に「変える」と「変えない」の判断は50%になっても良さそうで、しかも確率的には「変える」ほうが2倍も当たる確率が上がるのですから、不思議な結果としかいいようがありません。


恐らくは、自分の選んだ直感を信じているのか、確率について考えるのが面倒くさいという心理なのかどうかはわかりませんが、これこそが行動経済学を学んでいく上で面白いところなのかも知れませんね。













真ん中を選ぶ理由。

「松竹梅」「特上・上・並」。
お店などでは、価格設定が3つに分類された商品を見かけることがありますよね。
そして、この価格帯、絶妙に設定されていて選択に悩むものなのですが、このように3段階に分けられた選択肢があると、ほとんど多くの人は「真ん中」レベルのものを選びたくなる傾向にあるのだそうです。

松竹梅



この「真ん中のものを選ぶ」ということを経済行動学では「極端の回避」「妥協効果」といって、典型的な人間心理のひとつとして知られています。


まぁ、ほとんどの人は「真ん中のものを選ぶ」ということについては納得できますよね。
というのも、グレードによって3つにわけられてしまうと、1番下のものを選択することによって「損したくない」という感情が芽生えてしまいますし、かといって1番グレードの高いものを買うほどの余裕がなかったり、逆に「高いものを買って損したくない」なんて思いが湧き上がってきたりします。


また、1番グレードの低い商品に関しては、「一番低いグレードの商品を選ぶと、貧乏やケチだと思われるかも?」なんていう見栄の心理が働くとも言われています。


しかし、「真ん中のもの」の選択したのであれば、良いも悪いも納得することができます。
例えば、「真ん中」のものが思っていた以上に良かったりすると、かなり得した気分になりますし、劣っていた場合「真ん中だからこんなもんか」「1番のグレードにしなくて良かった」なんて、自分の都合のいいように解釈することができます。


さて、このように価格帯を3つにすることなのですが、2つや4つにしてもいいのでは??
なんて思ってしまいますよね。


実はこの「3」という数字、日本人が「3」が好きだからとかいう曖昧な理由ではなく、しっかりとした根拠があるんですよ。


まず、価格帯を2つにした場合なのですが、統計によると約7割の人が「グレードの低い」ほうを選ぶのだそうです。
この理由としては、2つの価格差によって「安いほうが得」というように感じやすいのだとか・・・。
「価格差」と「性能」を比較しやすいこともありますし、2つの選択肢という場合、どうしても価格で判断してしまいやすいのだそうです。


そして「4つ」の場合。
この場合、4つの選択以外に「買わない」という選択肢も出てくるのだとか。
「Aもいいし、Bも悪くない。Cが1番無難そうだけど、金銭的にはDでもいいかな・・・」なんて悩むことになって、「買わない」という選択肢が出てくるのだとか。


ここで登場するのがマジカルナンバーといって、人が瞬間的に記憶できる「短期記憶の限界数」。


そもそも「短期記憶」とは、人間が数十秒から数分で忘れてしまう記憶のことで、アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが論文によって「日常的なことを対象にした場合の記憶容量は、7を中心としたプラスマイナス2個の範囲内である」という説を唱えています。


じゃあ先程の「4」でも問題ないじゃないか?なんて思った方、


実は、現在では、ネルソン・コーワンが発表した「マジックナンバー4プラスマイナス1」という説が有力となっていて、「人間が一度に記憶できる情報の数は4つ」なのだそうです。


考えてみれば「電話番号」「クレジットカード」なども数字は4つ程度で区切られていますし、数字を覚えるときも、大抵は「3区切り」「4区切り」で覚えたりしませんか?


とまぁ、本題からはかなり脱線してしまいましたが、マジックナンバー「4」であれば、先の「4つの選択肢」でも問題ないと思われるかもしれませんが、「記憶」ではなく、「選択させる」という場面においては、その数が多ければ多くなるほど比較検討することが増えてしまい、人は疲れ、考えることを止めるのだそうです。


つまり「買わない」という新たな選択肢が増えるんですね。


ですので、マーケティングにおいては、現在ありとあらゆる場面において3つの選択肢が用意されていることが多いのです。


まぁ、乱暴な言い方をすれば「1番購入して欲しい商品」に対して、グレードアップ、グレードダウンの商品を用意し、比較検討してもらうという方法を取ることが売上アップにつながるのでしょうね。




インセンティブのバランス

よく人を動かすために、インセンティブが使われますが、これも使い方次第では、思った以上の効果が出ないようですよ。



あるテストで、6つのゲームを行ってもらい、それぞれ普通の成績であれば「良」として定められた報酬がもらえ、さらにいい成績であれば「優」として定められた報酬が2倍となってもらえます。
しかし、成績が「良」以下であれば、報酬は貰えません。


ここで、その報酬額を3つにわけて、少額チームであれば1万円、中額チームであれば5万円、大額チームであれば10万円として、テストを行ったのだそうです。


ここで問題。


この「少額チーム」「中額チーム」「大額チーム」の中で、一番成績の良かったチームは、どのチームだったのか、わかりますか??


ちなみに、6つのゲームですべて「優」をとった場合の報酬は「少額チーム」が12万円、「中額チーム」が60万円、「大額チーム」が120万円となります。


「大額チーム」に決っているだろ???


いえいえ、残念。
実は「少額チーム」と「中額チーム」の成績にはあまり違いがなかったのだそうですが、一番貰えるであろう「大額チーム」の成績が一番悪かったのだそうです。


このような結果になったのは「大額チーム」のインセンティブがあまりに大きすぎたため、それがかえってプレッシャーとなり、満足な成績を収めることができなかったのだそうで、とくに1番目に行ったゲームでつまづいてしまった場合、そこから平常心を取り戻すことができなかったのだとか。


また、面白いことに「少額チーム」「中額チーム」は受け取る報酬にほぼ満足出来ていたのに対し、「大額チーム」の場合、「受け取れなかった報酬」に対する執着のほうが強かったのだそうです。


「少額チーム」が全て「優」であっても12万円ですから、「大額チーム」は6つのゲームの内、たった2つの「良」取るだけで「少額チーム」のマックス金額をゆうに超えることができます。


金額だけを見れば「大額チーム」でも十分なはずですが、本来120万円貰えるチャンスだったということを考えると、報酬20万円では満足はできるはずもなく、貰える可能性のあった報酬をミスミス逃したとなると、そりゃ未練がましくなってしまいますよね。


まぁ、そういうこともあり、期待している行動に対して、なにかしらのインセンティブをつけるのであれば、与える方も受け取るもホドホドが一番いいということです。