行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学についてしっかりと学んでいきたいと思います。

こども行動経済学 なぜ行動経済学が必要なのかがわかる本

人間の思考のクセを知れば、かしこく行動できる人になれる!

新刊「こども行動経済学 なぜ行動経済学が必要なのかがわかる本」(犬飼佳吾 監修、バウンド 著)が2022年7月15日に発売されました。


行動経済学は、人間が合理的には行動しないことに着目し、従来の経済学ではうまく説明できなかったことを心理学の要素も加えながら人間の行動を観察することで捉えようとする、より実践的な経済学で、損得についてきちんと考え、合理的な行動を選択できる力を育みます。
その考え方はさまざま場面で応用することができ「こどもシリーズ」は、家庭内コミュニケーションを推進することを目的とし、日常生活からの事例を交えるなど、親子が会話をするきっかけとなるテーマを吟味しています。


こどもをこども扱いせずに、対等に話し合える環境を大人がつくることも大切な家庭教育です。

「はじめに」より

よりよい選択ができる「選択の達人」になろう!
自分の人生や社会をよりよいものにしよう!


私たちは日々、とてもたくさんの選択をしています。どんな服を着るか、何を食べるか、ゲームをするかそれとも勉強をするか、といったように比較的小さな選択もあれば、ときには人生を左右するような重大な選択もあるでしょう。一つひとつの選択が小さなものであれ大きなものであれ、選択を積み重ねることで、あなたという人間が形づくられているともいえます。


行動経済学は、人々がどんな選択をするのか、選択するときにどんなことを考えているのかを調べて研究する学問です。選択を研究するとはどういったことでしょうか。行動経済学ではおもに2つの考え方にもとづいて選択に関する研究を行います。


ひとつめの考え方は、正しい選択とは何かを考えることです。どんな人であっても間違いのない正しい選択をしたいと望むでしょう。行動経済学では、合理的な人間であればどういった選択をするかという経済学的な考え方をもとに正しい選択とは何かを考えます。


ふたつめの考え方は、観察や実験を通じて、人がどんな選択をするのかを調べることです。私たちは、いつも正しい選択ができるわけではありません。誘惑に負けたり、適当に考えて選択してしまうこともしばしばあります。このように、私たち人間が持っている選択のクセにはどういった特徴があるのかを調べることも行動経済学の研究のテーマです。


では、行動経済学を学ぶとどんなよいことがあるでしょうか。行動経済学をじっくり学ぶと選択の達人へと近づくことができるでしょう。人はだれしも正しくてよい選択をしたいものです。重大な決断をするときは、友達や両親、先生に相談しますよね。インターネットを使っていろんな情報を収集することもあるでしょう。


でも、いろいろな意見を聞いてみたり情報収集をしてみると、選択に関する情報が多すぎてかえってどれがよい選択なのかわからなくなってしまうこともあります。そうしたとき、行動経済学の考え方を使うと目の前の情報が整理され、よい選択をするための手かがりを得られるでしょう。人生は選択の連続ですから、行動経済学を学び、選択の達人になることで、みなさんの人生がより豊かなものになるかもしれません。


ここまでは自分の選択をよいものにするために、行動経済学を使ってみることを考えてみました。ここでもう少し視野を広げて、私たちが暮らす社会のことを考えてみましょう。


行動経済学を使うと友人や周りの人々がよい選択をできるようなお手伝いができるかもしれません。行動経済学で人々の選択や行動をよりよいものにするためのサポートをすることも研究されています。自分のことだけでなくて、みなさんが生活する社会をよくするためにはどんなことが必要かを思いめぐらしてみることは、難かしいけれどもとても大切なことです。


今、私たちが暮らす社会はものすごい速さで変化しています。このような変化のなかで、自分と社会にとってよい選択がどんなものかを考えることは、みなさん自身の人生だけでなく、私たちが暮らしている社会をよりよいものにするきっかけになると思います。


この本を手に取ったという選択が、あなたの人生をよりよいものにしたり、よりよい社会を考えるきっかけになってほしいという願いを込めて、この本をみなさんに届けたいと思います。