行動経済学入門

経済学と心理学の中間に位置すると言われる行動経済学についてしっかりと学んでいきたいと思います。

プラスサムゲーム

戦後日本の製造業は、世界をけん引してきたのですが、これはいくつかの幸運は重なったにせよ、これは圧倒的な強みを持っていたからに他なりません。
しかし、昨今の日本の製造業を取り巻く状況を見ると、少子化に起因する人材不足による技術継承の困難、施設の老朽化への対応、GAFA等のプラットフォーマーの台頭、グローバルサプライチェーンの混乱など、いずれも日本の強みをかき消す働きを示しています。

プラスサムゲーム

では、どうやって日本の製造業の強みを際立たせるかという段階になると、それには多額の設備投資や人材補強という経営に直接影響するような難しい施策の壁に直面し、有効な手が打てないと思われがちですが、本書では、有効な手段として、AIを日本の製造業の強みを生かすように活用することを提案されています。
とはいえ、単純にAIを導入するだけでは日本の製造業の強みを生かすことができず、海外と同じ土俵で戦い続けることになり、苦しい状況が続くまま。
プラスサムゲームとは
本書のテーマは、AIを用いた日本の製造業におけるプラスサムゲームで、ゼロサムゲームという言葉はよく知られていると思いますが、このプラスサムゲームというのはあまり聞きなれない言葉ですよね。
ゼロサムゲームが、複数の人が相互に影響し合う中で「全員の利得の総和が常にゼロになる」というもので、これはある限定されたパイをゲームの参加者が奪い合うという状況で、プラスサムゲームは、同様に複数の登場人物が影響し合う中で「全員の利得の総和が増加」し、その結果、各人への利得の配分が増えるウィンウィン(Win-Win)の状況を指しています。
本書に登場するのは、経営、現場、そしてAIの3者でm主に論じるられるのは、経営と現場のプラスサムゲーム、経営とAIのプラスサムゲーム、現場とAIのプラスサムゲーム、そしてこれらの登場者すべてが参加するプラスサムゲームとなります。


本書が目指すプラスサムゲームは、海外の製造業コンペティターを抜き去るための方策で、企業内、あるいは国内での競争に勝つことはさておいて、あくまでグローバルでの日本の製造業の非連続な発展をテーマとしています。


日本の製造業の強みを生かし、かつ経営上も実行が可能な経営・現場・AIのプラスサムゲーム。その中に含まれるAIという「1つの手段」は、海外のコンペティターを日本の製造業が抜き去るための決定的手段であるということとその本質を解説されています。